国民年金と厚生年金の違いは?仕組みや対象者、年金受給額を解説
日本の公的年金には、国民年金と厚生年金がありますが、仕組みや加入対象者、将来の年金受給額などが異なります。では、国民年金と厚生年金には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
公的年金制度に加入して毎月保険料を納めていても、「国民年金と厚生年金の違いがよくわからない」「そもそも年金制度はどんな仕組みになっているのだろう」と疑問を持つ人は多いかもしれません。
ここでは、国民年金と厚生年金の違いや仕組み、対象者などについてわかりやすく解説します。
国民年金と厚生年金の違い
国民年金と厚生年金の違いは、対象者や保険料、将来の受給額などさまざまな点が挙げられます。
違いを知るには、まずは仕組みを知ることが大切です。下記図のように、日本の公的年金制度は2階建て構造で、1階部分は20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」、2階は会社員や公務員などの対象者だけが加入する「厚生年金」です。
■ 年金制度の仕組み
※厚生労働省「公的年金の仕組み」より引用
「自営業者は国民年金、会社員が厚生年金」と、どちらか一方の年金制度に加入すると思われがちですが、会社員や公務員は、国民年金に上乗せする形で厚生年金に加入しています。厚生年金に加入している人は、国民年金にも加入しているので、その分、給付が厚くなるという仕組みです。
さらに給付を厚くしたい場合には、国民年金や厚生年金に上乗せできる年金に加入することもできます。
例えば、各企業が任意で設立し従業員が加入できる「企業年金」や、自営業者などが国民年金に上乗せできる「国民年金基金」、個人が任意で加入できる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」があります。
ここでは、国民年金と厚生年金それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。国民年金と厚生年金の主な違いをまとめると、以下の表のとおりです。
■ 国民年金と厚生年金の主な違い
国民年金 | 厚生年金 | |
---|---|---|
対象者 | 自営業者、学生、無職の人など、第2号被保険者ではない20~60歳未満のすべての人 | 会社員、公務員 加入要件に該当するパート、アルバイト |
保険料 | 一律 | 収入により異なる |
保険料負担 | 加入者が全額を負担する | 加入者と勤務先が折半で負担する |
最低被保険者期間 | 10年 | 国民年金を10年以上加入していれば1カ月以上 |
将来の受給額 | 加入期間に応じて一律 | 収入と加入期間に応じて異なる |
遺族年金の受給対象者 | 亡くなった人によって生計を維持されていた子のある配偶者、または子 | 亡くなった人によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母のうち優先順位の高い人 |
扶養 | なし | あり |
国民年金とは
国民年金とは、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金で、基礎年金ともいいます。国民年金だけに加入するのは、自営業者や学生、無職の人などです。
国民年金保険料は年度ごとに見直しが行われますが、2024年度は一律1カ月あたり1万6,980円で、現金や口座振替、キャッシュレス決済などで加入者が自分で納付します。将来受け取れる年金受給額は、保険料の納付期間に応じて決まります。
厚生年金とは
厚生年金は、会社員や公務員の人が国民年金に上乗せして加入する年金制度です。厚生年金保険料は、就職時から納付する義務があり、勤務先と加入者が半分ずつ負担しなくてはなりません。国民年金と違って、勤務先が加入者に代わって納付するため、給与や賞与から天引きされる形で納付します。ただし、厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれており、将来、国民年金と厚生年金の両方を受け取れます。また、厚生年金は、保険料が給与や賞与の金額に応じて異なるだけでなく、将来受け取れる年金の額も、現役時代の収入の額と加入期間によって決まるため、人によって差があるのが特徴です。
年金加入者の分類
公的年金制度の加入者(被保険者)は、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3つに分類されます。このうち、第1号、第3号被保険者は国民年金のみに加入し、第2号被保険者は厚生年金にも加入します。年金の種類や対象者、納付方法はそれぞれ以下の表のとおりです。
■ 国民年金と厚生年金の主な違い
加入者の分類 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 |
---|---|---|---|
年金の種類 | 国民年金 | 厚生年金 | 国民年金 |
対象者 | 自営業者、農業者、 学生、無職の人など | 会社員、公務員など | 第2号被保険者に扶養されている配偶者で、年収130万円未満の人(被扶養者) |
保険料の納付方法 | 加入者自身で納める | 給与から天引きされる | 保険料の負担なし |
国民年金と厚生年金の保険料の負担額
国民年金保険料は、収入にかかわらず一律で、年度(4月~翌3月)ごとに見直しが行われ、2024年度は1カ月あたり1万6,980円です。
これに対して、厚生年金保険料は、給与や賞与の額をもとに計算され、計算式は以下のようになります。
厚生年金保険料の計算式
- 厚生年金保険料=標準報酬月額(標準賞与額)×厚生年金保険料率(18.3%)
標準報酬月額や標準賞与額とは、給与や賞与の金額を一定の幅で区分したもので、厚生年金保険料や健康保険料を計算するために使用します。なお、厚生年金保険料率は、2024年現在18.3%で固定されています。厚生年金保険料額については、日本年金機構のWEBサイト「厚生年金保険の保険料」で最新年度の保険料が確認できるので参考にしてください。
最低被保険者期間
国民年金と厚生年金には、将来年金を受け取るために必要な最低被保険者期間(加入期間)が定められています。国民年金の保険料を納めた人が将来受け取れる老齢基礎年金を受給するには、最低でも10年間の被保険者期間が必要です。国民年金の被保険者期間が10年を超えていれば、厚生年金の加入期間が1カ月だったとしても、老齢基礎年金に、厚生年金の保険料を納めた人が将来受け取れる老齢厚生年金を上乗せして受け取ることができます。
将来の受給額
国民年金の保険料を納めた人が将来受け取れる老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間の保険料をすべて納めると満額受給となります。2024年度の老齢基礎年金の満額は、1カ月あたり6万8,000円(1956年4月2日以後生まれの場合)です。
一方、厚生年金の保険料を納めた人が将来受け取れる老齢厚生年金の場合は、現役時代の収入や加入期間によって受給額が異なりますが、2022年度の平均年金月額は約14万4,000円となっています。
■ 厚生年金保険(第1号)受給権者平均年金月額の推移
老齢年金 | |
---|---|
平成30年度 | 14万3,761円 |
令和元年度 | 14万4,268円 |
令和2年度 | 14万4,366円 |
令和3年度 | 14万3,965円 |
令和4年度 | 14万3,973円 |
※厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2023年12月)
遺族年金の受給対象者
国民年金や厚生年金には、加入者が亡くなったときに受給要件を満たしていれば、その人によって生計を維持されていた遺族が年金を受け取れる「遺族年金」という制度があります。ただし、遺族年金の受給対象者の範囲は、国民年金と厚生年金で異なります。
国民年金の加入者が亡くなった場合に受け取れる遺族基礎年金の対象は、子のある配偶者、または子です。遺族基礎年金の受給額は、配偶者の年齢や子どもの人数によって決まっています。遺族基礎年金の年金受給額については、日本年金機構のWEBサイト「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」で最新年度の金額が確認できます。
また、厚生年金の加入者が亡くなった場合に受け取れる遺族厚生年金の対象は、生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母のうち、最も優先順位が高い人です。年金受給額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。報酬比例部分は、年金額の計算の基礎となるもので、加入期間や過去の報酬によって決まります。
遺族厚生年金の年金受給額については、日本年金機構のWEBサイト「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」もあわせてご確認ください。
厚生年金では家族を被扶養者にできる
厚生年金には扶養がありますが、国民年金にはありません。
厚生年金の加入者は、以下の収入条件を満たせば配偶者や子ども、父母などを被扶養者にできます。
厚生年金の扶養に入るための収入条件
- 年収130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)、かつ以下のどちらかの場合
- 同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
- 別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
被扶養者は国民年金の第3号被保険者となり、保険料を納めなくても国民年金に加入することが可能です。一方、国民年金には、このような扶養の仕組みはありません。例えば、自営業の人の妻(夫)が専業主婦(夫)で収入がなかったとしても、夫婦それぞれが国民年金に加入して保険料を納める必要があります。
厚生年金と国民年金は両方払う?
厚生年金に加入すると、自動的に国民年金にも加入することになるため、「国民年金と厚生年金の保険料を両方納付しなければいけないの?」「国民年金と厚生年金でそれぞれ加入手続きが必要?」と、疑問に思う人もいるかもしれません。
結論からいうと、厚生年金保険料を納めると、加入者が特に手続きをしなくても、国民年金保険料も納めたことになります。
また、国民年金に加入していた学生が就職して厚生年金に加入するような場合は、就職先の会社で切り替えの手続きを行うため、自身では手続きは不要です。もし、国民年金保険料を前納(一括前払い)した後に厚生年金に切り替えた場合は、日本年金機構から届く案内に従って手続きをすれば、重複して納付した分の国民年金保険料が還付されます。
なお、退職後しばらく転職しない場合や、会社員から個人事業主になる場合などは、自分で厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要です。手続き方法は退職時期などによって異なるため、日本年金機構のWEBサイト「会社を退職した時の国民年金の手続き」で確認しましょう。
年金保険料はクレジットカードで払える?
国民年金保険料は、クレジットカード納付が可能です。国民年金保険料をクレジットカードで納めれば、納付額に応じてポイントがたまり、未払いのリスクも防げます。クレジットカードによってはポイント還元が受けられないものもありますが、三菱UFJカードなら、国民年金保険料の納付でもポイントがたまるのでお得です。
なお、国民年金保険料をクレジットカードで納付するには、事前に手続きが必要です。「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」を年金事務所の窓口に提出または郵送するか、日本年金機構のWEBサイトから電子申請を行いましょう。申出書の用紙は、日本年金機構のWEBサイト「国民年金関係届書・申請書一覧」でダウンロードできるほか、年金事務所の窓口にも用意されています。
タッチ決済対応!年会費もポイント還元率もお得な三菱UFJカード
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ほかにも、ネットショッピングのポータルサイト「POINT名人.com」を経由してお買い物をすると、カードの基本ポイントに加えてボーナスポイントももらえるので、日常使いでポイントがためやすいでしょう。
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そのほか、「MUFGカードアプリ」を活用すれば、WEB明細をスマートフォンでいつでもチェックでき、家計簿をつける手間を省けます。さらに、ご入会日から2カ月後までに条件を達成すると、最大10,000円相当(グローバルポイント2,000ポイント分)がもらえます。詳細は三菱UFJカードのWEBサイトでご確認ください。
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※その他、「 Uber One 」6カ月無料の特典には条件があります。また、特典の適用には専用ページよりお申し込みが必要です。詳細はこちらをご確認ください。
※「 Uber One 」6カ月無料の特典は2024年8月時点のものであり、予告なく内容を変更または終了する場合があります。
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- 対象店舗でのご利用分の最大15%のポイントが還元される
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国民年金と厚生年金の違いを正しく理解しておこう
日本の公的年金制度は2階建て構造になっており、1階部分にあたるのが国民年金、2階部分が厚生年金です。自営業者や学生、無職の人などは国民年金だけに加入し、会社員や公務員は国民年金に上乗せして厚生年金に加入することになります。厚生年金は勤務先が加入者に代わって納付しますが、国民年金は加入者自身が納付しなくてはいけません。納付の際にクレジットカードを利用するとポイント還元が受けられるのでお得です。
将来に備えるためにも、国民年金と厚生年金の違いを知り、自分がどちらに該当するかを把握して納付を忘れずに行いましょう。
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- 国民年金と厚生年金はどちらがいい?
- 国民年金と厚生年金は、働き方や収入などによって納める年金が決まっているため、どちらがいいとは一概にはいえません。将来受け取れる年金受給額を比べると、国民年金を満額納めた場合、2024年度は月6万8,000円であるのに対して、厚生年金は2022年時点の月平均は14万4,000円でした。国民年金よりも厚生年金のほうが将来受け取れる受給額は高くなりますが、その分、現役時代に納める保険料も厚生年金のほうが多くなります。国民年金と厚生年金のどちらに加入するかは、希望や都合で選べるものではないので注意しましょう。
詳しくは「国民年金と厚生年金の違い」をご確認ください。 - 国民年金と厚生年金は両方もらえますか?
- 厚生年金の加入者(第2号被保険者)は、納付する保険料に国民年金保険料も含まれているため、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)の両方を受け取ることができます。一方で、国民年金のみに加入している第1号被保険者や第3号被保険者は、将来受け取れるのは国民年金(老齢基礎年金)のみとなります。
詳しくは「国民年金と厚生年金の違い」をご確認ください。 - 厚生年金に入ると国民年金で手続きは必要?
- 国民年金に加入していた人が就職して厚生年金に加入する場合は、就職先の会社が切り替えの手続きを行うため、加入者本人による手続きは不要です。ただし、国民年金保険料を前納(一括前払い)した後で厚生年金に切り替えた場合は、重複して納付した分の国民年金保険料を払い戻してもらう手続きを自分で行わなくてはなりません。その場合は、日本年金機構から案内が届くので、案内に従って必要書類を提出しましょう。
詳しくは「厚生年金と国民年金は両方払う?」をご確認ください。