勤労学生控除とは?申告方法や扶養控除との関係をわかりやすく解説
勤労学生控除は、働く学生の税負担を軽減する制度です。学生でも一定以上の収入があれば、社会人のように所得税や住民税を納める必要がありますが、勤労学生控除を利用すれば、手取りへの影響を減らすことが可能です。
勤労学生控除を利用するには、確定申告や年末調整での申告が必要になります。また、利用時には条件や注意点もあるので、メリットとデメリットを吟味したうえで利用しましょう。
ここでは、勤労学生控除の対象条件や申告方法のほか、利用する場合の注意点を解説します。
勤労学生控除とは働く学生の所得税と住民税を軽減する制度
勤労学生控除とは、働く学生の所得税と住民税を軽減する制度で所得控除の1つです。勤労学生控除は条件を満たしたうえで、確定申告や年末調整といった申告手続きを行うと適用されます。
まずは、勤労学生控除が受けられる条件を詳しく見ていきましょう。
勤労学生控除が受けられる条件
国税庁のWEBサイト「No.1175 勤労学生控除」によると、勤労学生控除が受けられる条件は3つあり、全て満たす必要があります。勤労学生控除が受けられる条件は以下のとおりです。
勤労学生控除を受けられる条件
- 給与所得などの勤労による所得があること
- 合計所得金額が75万円以下で、かつ勤労以外の所得が10万円以下であること
- 特定の学校の学生であること
給与所得などの勤労による所得とは、給与として受け取る収入のことです。例えば、アルバイト先から支給されるアルバイト代が該当します。一方、勤労による所得に該当しないのは、株の配当所得、家賃収入の不動産所得、ギャンブルで得たお金やくじの当選金といった一時所得です。
また、合計所得額は年間の収入から必要経費を差し引いた金額のことです。給与所得の場合は必要経費として給与所得控除55万円が収入から控除されます。そのため、合計所得金額75万円と給与所得控除55万円を足した年収130万円以下が対象条件の1つです。
なお、勤労学生控除を受けられる条件の特定の学校とは、小学校、中学校、高校、高等専門学校、大学、大学院のほか、専修学校なども含まれます。
勤労学生控除のメリットは手取りが増えること
勤労学生控除のメリットは、所得税の非課税枠が大きくなるので手取りが増えることです。勤労学生控除を使わない給与所得者の場合、所得税がかからないのは基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計額103万円までですが、勤労学生控除は年収130万円以下なら非課税になります。
なお、自分の年収を調べるには、源泉徴収票の「支払金額」を確認してください。おおまかに調べるには、給与明細の「総支給額」を12カ月分足した金額です。賞与があればその分も含めます。
勤労学生控除のデメリットは扶養控除が受けられなくなること
勤労学生控除のデメリットは、アルバイトの年収が103万円を超えると扶養から外れることです。学生の場合、親の扶養に入っていることが多いので注意が必要です。
学生自身は勤労学生控除を使えば年収130万円まで所得税が非課税になります。しかし、扶養に入っている子供の年収が103万円を超えると、扶養者の親は扶養控除が受けられなくなって、親の所得税や住民税の負担が大きくなる可能性があります。
年収103万円を超えて勤労学生控除を使う場合は、事前に扶養者に相談しておきましょう。
勤労学生控除の計算方法
勤労学生控除を受けた場合、所得税と住民税の金額はそれぞれの計算方法で求めます。ここでは、計算方法を詳しく見ていきましょう。
所得税の計算方法
所得税の計算方法は以下のような計算式で求めます。
所得税の計算方法
- 所得税の課税所得=勤労した年収−(所得税の基礎控除48万円+給与所得控除55万円+勤労学生控除27万円)
勤労した年収が130万円以下なら勤労学生控除の場合、所得税が課税される金額が0円になるため、所得税はかかりません。
例えば、勤労した年収が150万円だった場合、控除額130万円から差し引いた20万円に所得税がかかります。所得税の税率は、所得が多くなると段階的に税率が上がる累進課税制度です。課税所得20万円の所得税の税率は5%なので、所得税は1万円となります。
なお、勤労した年収150万円で、勤労学生控除を使わなかった場合の所得税は23,500円となり、手取りに1万円ほどの差が出るので利用するとお得です。
住民税の計算方法
住民税は、前年の所得に対して課税される「所得割」と、定額で課税される「均等割」で構成されているので、それぞれを求めてから合計します。所得割の税率は10%(道府県民税・都民税4%+区市町村民税6%)、均等割の負担額は4,000円(2014~2023年の間は5,000円)です。
住民税の計算方法
- 住民税の所得割=(勤労した年収-住民税の基礎控除43万円+給与所得控除55万円+勤労学生控除26万円)×10%
- 住民税の均等割=5,000円(2023年時点の場合)
- 住民税の課税所得=所得割+均等割
例えば、勤労した年収が130万円だと住民税の所得割は6,000円、均等割は2023年時点なら5,000円なので、合計額の11,000円が住民税の金額となります。勤労学生控除を利用すると、年収130万円なら所得税はかかりませんが、住民税はかかります。
ただし、住民税には非課税枠があり、未成年者であれば前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は年収204万4,000円未満)の人は住民税がかかりません。
税金の計算や仕組みは複雑になるため、国税庁のWEBサイト「所得税のしくみ」や総務省のWEBサイト「個人住民税」などでもご確認ください。
勤労学生控除を受けるための申告
勤労学生控除を受ける場合は、アルバイト先の年末調整で申告するのが一般的です。ただし、複数のアルバイトを掛け持ちしたり、年末調整に間に合わなかったりした場合は確定申告を行います。
年末調整と確定申告の方法をそれぞれ見ていきましょう。
年末調整での申告方法
アルバイト先が1カ所だけでほかに収入がない場合は、アルバイト先の年末調整で申告します。アルバイト先から渡される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類に必要事項を記入し、期限内に提出します。学生証のコピーや在学証明書の提出を求められたら添付してください。
年末調整での申告書の書き方
※出典:国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」
主に記入する欄
- 給与の支払者、所在地:アルバイト先の会社名と住所を記入する
- あなたの氏名、住所、生年月日:自分の氏名と住所、生年月日を記入する(印字されていることもある)
- 世帯主の氏名:世帯主が親の場合は親の名前を記入する
- 配偶者の有無:結婚していれば有、していなければ無を囲む
- 勤労学生にチェックを付け、右側の空欄に「学校名と入学年月日及び令和○年中の所得の種類とその見積額」を記入する
例えば、学校名や所得の種類については「○○大学、○○年4月1日入学、給与所得73万円」と記入します。給与所得は、勤労した年収から給与所得控除55万円を差し引いた金額ですのでご注意ください。
勤労した年収が128万円であれば、所得は73万円となります。
確定申告の方法
確定申告を行う場合は、収入を得た翌年の2月16日から3月15日の間に税務署に提出します。書面または、国税電子申告・納税システムのe-Taxのいずれかで行ってください。
確定申告書の書き方は以下のとおりです。
確定申告書の書き方
主に記入する欄
- 第一表「所得金額等」の給与:年収から給与所得控除を差し引いた金額を記入する
- 第一表「所得金額等」の合計:合計額を記入する
- 第一表「所得から差し引かれる金額」の勤労学生、障害者控除:27万円を記入する
- 第一表「所得から差し引かれる金額」の基礎控除:48万円を記入する
- 第一表「所得から差し引かれる金額」の合計:75万円を記入する
- 第二表「本人に関する事項」の勤労学生:丸印を付ける
また、学校から発行された在学証明書の添付も必要です。
なお、ふるさと納税や医療費控除を申請する場合はその分も記入漏れがないようにしましょう。
勤労学生控除を受ける際の注意点
勤労学生控除を受ける際には、親の扶養控除以外にも注意すべき点があります。申告する前に必要な書類が集められるか、控除対象になるかどうかをチェックしておきましょう。
学校に在学証明書を発行してもらう必要がある
勤労学生控除を受ける際には、対象となる学校に在籍している証明書を発行してもらう必要があります。アルバイトが禁止の学校であれば発行されないことがあるので注意しましょう。
また、年末調整は11月から年末、確定申告は収入のあった翌年2月16日から3月15日までの間に申告を行います。在学証明書の発行は、余裕をもって学校側に申請しておくことが大切です。
動画配信やインフルエンサーの収入は勤労学生控除を使えるが給与所得控除は使えない
個人事業主のWEBライターとしてインターネット記事を書いたり、動画配信やインフルエンサーとして活動したりする場合は、給与所得ではなく、事業所得や雑所得に区分されます。勤労学生控除の条件である、「勤労による所得」に事業所得も雑所得も該当するので、控除が受けられます。
ただし、給与所得控除は給与所得にしか該当しないため、利用できるのは勤労学生控除の75万円と基礎控除の48万円のみです。給与所得控除55万円分は控除されないので、控除金額には注意しましょう。
また、株の配当や家賃収入は「勤労による所得」ではないので、合計額が10万円を超えると、勤労学生控除を受けられなくなります。どうやって収入を得ているかによって利用できる控除が変わるので所得の種類については税務署に確認してください。
年会費が無料!ポイント還元率もお得な三菱UFJカード
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※1ポイント5円相当の商品に交換の場合
勤労学生控除を利用するなら申告を忘れずに行おう
勤労学生控除は、働く学生の所得税と住民税を軽減させる所得控除の1つです。勤労学生控除は条件を満たしたうえで、確定申告や年末調整といった申告手続きを行うと適用されるので、申告を忘れないようにしましょう。所得控除のほかにも、学生のうちに使えるメリットとして、在学中は年会費が無料になるクレジットカードを利用する方法もあります。学生のうちに手続きを行っておきましょう。
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- 勤労学生控除の対象になる条件は?
- 勤労学生控除の対象条件は、給与所得などの勤労による所得があるだけでなく、合計所得金額が75万円以下で、かつ勤労以外の所得が10万円以下であること、特定の学校の学生であることです。全て満たさなければいけません。
詳しくは「勤労学生控除とは働く学生の所得税と住民税を軽減する制度」をご確認ください。 - 勤労所得控除を適用する場合、年収103万円と年収130万円ではどちらが得なのか?
- 勤労所得控除を適用する場合、年収103万円と年収130万円でどちらが得なのかは一概にはいえません。勤労学生控除を使うと、学生自身は年収130万円までなら所得税は非課税です。ただし、親の扶養に入っている場合、学生の年収が103万円を超えると扶養控除が外れ、親の所得税額が大きくなります。家庭によってどちらがいいかは異なるので、勤労学生控除を利用する前に家族と相談しておきましょう。
詳しくは「勤労学生控除のデメリットは扶養控除が受けられなくなること」をご確認ください。 - 勤労学生控除のメリットとデメリットは?
- 勤労学生控除のメリットは、所得税の非課税枠が大きくなるので手取りが増えることです。勤労学生控除のデメリットは学生の年収が103万円を超えると扶養控除が外れ、親の所得税が大きくなることです。メリットとデメリットを考慮したうえで、自分でいくら稼ぐか年収を割り出すといいでしょう。
詳しくは「勤労学生控除とは働く学生の所得税と住民税を軽減する制度」をご確認ください。